カードゲーム

解説┃カドゲ・水道管ゲーム ~アメリカン・テーブルトップゲーム、不朽の名作! 水漏れ水道管を補修しながら、水を一番に流そう。

水道管ゲーム カードゲーム
水道管ゲーム

規定枚数の水道管を繋げて、蛇口から水を出せた人が勝つシンプルゲーム。なのに案外思うようにいかない!

原題:Water Works
プレイヤー数:2~4人 プレイ時間:30分 対象年齢:8才~大人 発売:1976年~
セッティング:近代アメリカ・水道管設備工
参考価格:2,000円前後(中古・各国語版)/日本語版:3,000~4,000円
メカニクス:複数人対戦、タイル・カード配置、路線・ネットワーク形成、直接攻撃、早抜け

総合面白さ :★★★★☆(安心感のある面白さ)
ゲーム難易度:★☆☆☆☆(易しい。初めてのボドゲ向き)
手軽さ   :★★★★☆(小箱。カードメイン。広げるスペースは必要)
運の要素  :★★☆☆☆(カードの引きが勝敗を多少左右)
実プレイ時間:★☆☆☆☆(短かい。公式時間前後でほぼ終わる)

概要

50年以上前に発売されたアメリカン・テーブルトップゲームの代表作です。日本にも人生ゲームと並び「ファミリーゲーム」の一つとして輸入販売されて、大ヒットした作品でした。
プレイヤーは配管工となって水道管を設備し、規定枚数のカードを繋げて水の出ている蛇口を置けたら勝利します。カードは縦向きにのみ置くため、「曲がった水道管」ばかり「真っ直ぐ」ばかりと、手札が偏ると思うように繋がらず、なかなか上がれません。そうこうしている間に、他プレイヤーから「水漏れ水道管」を付けられたり!? 修理し、自分も対戦者の邪魔をしながら、配管の完成を目指します。

Konowe
Konowe

Konoweにとっては、子供の頃に猿の如く遊んだ思い出ゲームです。大正生まれの祖父母と、小学生の私、まだ幼稚園の弟という組み合わせでも楽しく遊べました。
今となってはルールがシンプル過ぎるかもしれませんが、その分、誰でもが直観的に内容を理解でき、遊び始める障壁の低いゲームと言えます。トランプ、花札、オセロなどと並ぶ「ファミリーゲーム」の代表作でしょう!

水道管ゲームのメカニクス

複数人対戦

2~4人のプレイヤーは各自、配管工となって手元に水道管を配置し、競います。

タイル・カード配置

手札から水道管カード(縦向き直線、横向き直線、右曲がり、左曲がり、T字、止水栓)を1枚出し、向きを揃えて手元の盤面に配置、展開します。

路線・ネットワーク形成

スタートは右上・右ハンドルでおかれた水栓バルブです。ここから水道管を繋げて、左下向きの蛇口(ゴール)まで繋げて路線・ネットワークを形成します。

直接攻撃

カードの中には、「水漏れ水道管」が混じっています。このカードを対戦者の配管に置くことで、「水を流せない」状況を作ります。このカードのあるうちは、配管を増やすことはできません。上から水漏れていない配管を置くか、手元の「レンチ(2個まで)」を使って修理します。

早抜け

水栓から配管を繋げ、人数別規定枚数以上を配置し、水漏れや分岐による水流出が無ければ、蛇口を置いて勝利を宣言します。

初期セッティング

各プレイヤー手元
・水栓バルブ(スタートカード) 1枚
・蛇口(ゴールカード) 1枚
・修理レンチ 2つ
・手札(水道管カード) 5枚

フィールド
・山札(水道管カード)

水道管ゲーム・初期セッティング
水道管ゲーム・初期セッティング

水道管カードの種類

水道管カードは大きく分けて、「普通の管」と「壊れない管(銅管)」の2種類があります。それぞれに「縦直線」「横直線」「左曲がり」「右曲がり」「T字」「止水キャップ」の6種類が用意されています。これらはシャッフルして使います。

カードの置き方規則

カードは必ず長い方を縦に置きます。上下は返せますが、左右に倒すことはできません。また、水道管を立体交差させて繋げることはできません。

ゲームの遊び方・手順

  1. 水道管カード以外の各コンポーネントをプレイヤーに配る。
  2. 水道管カードをよくシャッフルし、各プレイヤーに5枚ずつ配る。残りは山札とする。
  3. トッププレイヤーをじゃんけんなどで決める。
  4. 各自、順に手番を行う。
  5. 規定枚数まで水道管を繋げることができたら蛇口カードをつけて勝利する。

手番で出来ること

プレイヤーが手番にできることは、山札からカードを1枚ドローし、手札と合わせて1枚プレイすることです(以下、play1~5のいずれかを行える)。手札は手番最後に5枚を維持します。

play1. 自分の水道管を伸ばす

水栓バルブ(初手)、または配置済み水道管に繋げることができるカードを手札から1枚選び、表にして場に配置する。

play2. 対戦者の妨害をする

何処にも水漏れが発生していない対戦プレイヤーの場に、水漏れ管を配置できる。水漏れは常に1カ所のみで、2つ目を配置することはできない。
配置箇所は管の延長先か、配置済み管の上に置ける。ただし、壊れない管(銅管)の上には置くことができない。
また、水漏れは自分の場に配置することはできない。

play3. 手札を1枚廃棄する

手札を場に捨てて、手番を終える。

play4. 水漏れを修理する:手札利用

水漏れ箇所と同じ形の水道管を手札から出し、水漏れの上に置く。

play5. 水漏れを修理する:レンチ使用

手元にある「レンチ」チットを水漏れの上に置く。レンチは2個まで使用できる。

ゲームの終了

誰かが水道管を一定の数まで繋げたところで、即座に蛇口を置いて勝利宣言できる。プレイヤー人数によって、繋げる枚数は変化する。

2人:15枚  3人:12枚  4人:10枚

なお、「繋げる枚数」とは、「水が流れるルート枚数」を差す。枝別れした先に繋げた枚数など、余分な配置を行ったカードは数に含めない。

水道管の完成
水道管の完成

tips1. とにかく繋げる

昨今の複雑なゲームに慣れた人からすると、「どこにジレンマ(面白み)が?」と感じるくらいにシンプルなルールです。しかし、いざやってみると、思うように上がれないことがよくわかります。
基本は、自分の場へのカード配置を優先しましょう。互いが妨害に専念し始めると、単にストレスを与え合うだけで、「上がれなくてつまらない」という感想になります。「水道管完成」が目的ですから、場に手札を置けるうちはとにかく水道管を繋げることを優先です。対戦者の配置枚数が自分より進んでいるようなら、最小手で妨害を行います。「繋げる=ゴールへの一歩」に対し「妨害=自分の手は進まない」ので、単なる妨害だけだと1アクションの価値が等価になりません。

tips2. 妨害にもコツがある

水漏れはつけ方を工夫することで、効果が高まります。
例えば、直線の先に「T字型の水漏れ」を置きます。これは2つの妨害効果を産みます。1つはもちろん、水漏れです。もう一つは、繋げたくない先に止水栓を置かなければ上がれない効果です。同様に、順調に育っている管の先に「曲線」の水漏れを置いてみましょう。蛇口を置くためには、「左下」に流れるように作らなければなりません。思わぬ方向に曲げられれば、対戦者はその分、余分なカードを置くことになります。
こうして対戦者に手間を与えている間に、自分の手を完成させます。最大効率の水漏れを選んで貼り付けましょう。

tips3. 山札切れ。終わりでもいいし捨て札をシャッフルし直してもいい。

このゲームは古い故か、「山札切れ」についてのルール記述はありません。当時はカードゲームというとトランプで、ルーチンゲームの大半は「山札切れたらシャッフルして山を作る」感覚だったため、記載抜けしているのかもしれません。実際、過去にプレイしていた時は、誰も何も言わず、普通に捨て札を切り直して山札にしていました。
ルールがないなら、ハウスルールでプレイするのも一つの遊び方でしょう。「山札切れまでに上がらないと全員敗者」ルールでもいいかもしれません。その方がゲーム難易度は上がります。

水道管ゲームの総評

発売以来、世界各国で今も売れ続けているだけあって、シンプルでありながら奥の深さを持ったゲームです。箱も小さく、コンポーネントも少ないので、旅行などにも持って行きやすいです。テーブルトップゲームのプレイ経験のない人でも、直観的に内容を理解できますので、交流会などにも使いやすいでしょう。
それでいて戦略性は高いので、ゲーム慣れした人であれば慣れたなりの面白い展開も可能です。万人におすすめしたい、良ゲームです。

水道管ゲーム・箱
ドイツ語版の箱。各国版で若干大きさは異なる
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