名作「モンスターメーカー」を「ラブレター」カナイセイジ氏が「ダンジョン飯」アレンジ
プレイヤー数:2~5人 プレイ時間:45分前後 対象年齢:10才~大人 発売:2022年~
メカニクス:複数人対戦、固有能力、セットコレクション、ダイスロール、得点加算
セッティング:漫画「ダンジョン飯」/中世ヨーロッパ風和製ファンタジー
総合面白さ :★★★★☆(良好!)
ゲーム難易度:★★☆☆☆(ライトユーザー向け。戦略とダイス運のバランス良し)
手軽さ :★★★★☆(良好! 箱も小型。メインはカード)
運の要素 :★★★☆☆(そこそこ。ダイス目とカードの引き)
実プレイ時間:★★☆☆☆(短かめ。公式時間前後でほぼ終わる)
手軽にライオスたちとダンジョンハックを楽しめる!
戦略と駆け引き要素はありますが、ダイス目による運もあるので強者独り勝ちにはならず。
漫画「ダンジョン飯」同様、出てくるモンスターを「調理」して「食糧」と「得点」にできるところがミソ。モンスターは「自分に出現させる」方が得かも!?
概要
「ボードゲーム」となっていますが、コンポーネントはカードとダイス、トークンのみ。ボード要素はありません。小型の机でもあふれず展開できます。
プレイヤーは漫画「ダンジョン飯」に出てくるパーティーの一つを操り、ダンジョンの最深部を目指して冒険します。途中に出現したモンスターを倒したら、「食べる」チャンス! 「調理」を成功させて、仲間の体力回復と勝利点のダブルゲットをしましょう。いち早く最深部にたどり着き、Bossを倒せたらゲーム終了。最終的に勝利点の高いプレイヤーが勝利者です。
モンスターイーターのゲーム・メカニクス
<複数人対戦><固有能力>
各プレイヤーは5~6枚のキャラクター・カードで構成されたパーティーを操り、同時対戦します。キャラクター毎に少しずつ能力差があるため、操るパーティーによって戦略が変わります。
<セットコレクション><ハンドマネジメント>
「ダンジョンカード(探索カード)」に書かれた「踏破率0~40%」を100%まで積み重ねる行動を2回行います。この途中で他プレイヤーから「モンスター」カードを置かれたり、「隠し部屋」に寄り道して「アイテム」を確保するなどの派生効果を得ます。
また、手札は回りが悪かったり必要なカードがなければ、主要ターン行動を放棄することで任意に捨て札とし、再ドロー・調整できます。
<ダイスロール>
主に戦闘処理を行う際に使用します。各キャラクターカードに書かれたダイスロールの合算が、モンスターのHPを上回れば戦闘に勝利できます。
また、モンスターを調理できたかどうかも、ダイスロールで判定します。調理にボーナスポイントが付いたキャラクターも居ます。
<得点加算>
「モンスター」を倒して「調理」を成功させると得点カードに変わります。また、「アイテム」「お金」「Boss踏破」が得点要素となります。ダンジョン踏破率が低いとマイナス要素になるので、ある程度他プレイヤーに追従して「踏破率」を積み重ねる必要があります。
初期セッティング
各プレイヤー手元:
・パーティーメンバーカード 5枚または6枚(パーティーによって変動)
・リソース:お金、食糧(肉)、魔法力(杖) キャラクター毎に設置
・手札(ダンジョンカード) 5枚
・ダンジョン深部/浅部マーカー 1枚(裏表)
フィールド:
・ダンジョンカード 山札
・アイテムカード 山札
・モンスターカード(ダンジョン浅部/深部それぞれ) 山札
・Bossカード:ダンジョン浅部/深部 各1枚
・トークン:お金/食糧(肉)、魔法力(杖) 各ストックヤード
・トークン:剣(特殊アイテム拾得時使用) 1枚
・ダイス 6個
ゲームの遊び方・手順
「遭遇カード」→「モンスター」の置かれていない「初手」は、
「迷宮探索」→「踏破カード設置」から始まります。
(2人目以降のプレイヤーは、「モンスター」を置かれている場合もあるので、「2ターン目以降」の手順から開始になります)
2ターン目以降、「モンスター」がいれば戦闘、いなければまた「迷宮探索」→「踏破カード」設置を行います。
万が一、「食糧(肉)がなくて、パーティーメンバーの復帰ができない!」状況になった場合、「調達」というルートを使います。「迷宮探索」と「戦闘」を行えませんが、「食糧」が2個手に入り、手札の「不要カード」を任意枚数捨てることができます。
初手
- 手札から「探索(踏破率)カード」を1枚、自分の場に設置する。
- 「探索カード」に効果があるなら、それを解決する。
- 手札に「遭遇(モンスター出現)カード」があれば、対戦プレイヤーか自分の「探索カード」の上に置く。「探索カード」が未設置でも、「遭遇カード」を置くことができる。既に「遭遇→モンスターカード」設置済みの迷宮(探索カードの積み重ね)に重ねて「遭遇」を置くことはできない。
- モンスター山札の一番上のモンスターを「探索カード」上に移し、「遭遇カード」はフィールドの捨て札に移す。
- アクションして使えなくなっているパーティーメンバーがいるなら「回復」を行う。
- 手札が5枚になるよう、「ダンジョンカード」を1枚ずつドローする。
- ドロー中に「イベントカード」が出たら、その場でオープンして状況を解決する。
- 手札5枚になったら、手番を次の対戦プレイヤーに回す。
2ターン目以降
- 「探索カード」の上に「モンスターカード」が置かれているならば手元のパーティーメンバーをアクションして戦闘を行う。
- モンスターを倒せたら、「調理」チェックを行う。
- 「調理」の結果、食糧(肉)などが手に入るなら、パーティーメンバーの上に置く。
- 手札から「探索(踏破率)カード」を自分の場に1枚設置する。
- 「探索カード」に効果があるなら、それを解決する。
- 手札に「遭遇カード」があれば、対戦プレイヤーか自分の「探索カード」の上に置く。
- モンスター山札処理をする。
- アクションして使えなくなっているパーティーメンバーの「回復」を行う。
- 手札が5枚になるようドロー、および「イベント」が出たら処理をして、手番を回す。
調達ルート:食糧(肉)不足、手札が不要カードだらけの場合
- 「調達」行動をとる場合、「探索」「戦闘」「遭遇設置」処理は行えない。
- 食糧(肉)を2個得る。
- 手札を任意枚数、捨て札に移せる。
- パーティーメンバーの「回復」処理を行う。
- 手札が5枚になるようドロー、および「イベント」が出たら処理をして、手番を回す。
tips1. 「遭遇モンスター」を対戦相手に付けるか、自分に付けるか!?
このゲームの原作である「モンスターメーカー」では、「遭遇モンスター」は単なる邪魔要素でした。
ところがこの「ダンジョンイーター」では、「遭遇モンスター」→倒せば食糧と得点!という、付加価値が加わりました。
つまり、対戦プレイヤーを足止めしたくて付けたモンスターのせいで、相手に勝利点を稼がれる可能性があるのです。
「モンスター山札」は、次に出るモンスターが常にオープンの状態で場に置かれています。「これは倒しやすいし、美味しそう!」なのが出ている場合は、自分が遭遇して美味しく頂くという選択肢が生まれます。また、自分が遭遇中であれば、「強くて美味しくない」モンスターを他のプレイヤーから張り付けられる危険も回避できます。
tips2. 選ぶパーティーによって戦略が変わる
このゲームのミソは、受け持った「パーティー」によって戦略性に変化があることでしょう。
魔法が得意なパーティーもあれば、「調理」が得意なパーティーもあります。逆に「調理」が苦手なパーティーは、出来るだけ戦闘遭遇を避けるか、簡単な戦闘だけこなせるよう、自分にモンスターをつける等の工夫が必要になるでしょう。
tips3. リソース(食糧、お金、魔法力)はどのくらい温存?
結論から言うと、「気にせず使うしか」ありません。
特に「魔法力」は、ほぼ運でしか回復しません。しかし、使いどころを待っていると、その機会がないままゲームが終わる可能性が高いです。使える機会に使いましょう。
魔法力使用効果の大きい箇所は、「探索(踏破率)カード40%」の使用でしょう。魔法力1つ消費しますが、ほぼ2手分早く進めます。手札にカードが回ってきたら、迷わず使いましょう。
お金の使い時は限られていますが、温存すると「3gp=1勝利点」になります。とはいえ、「買い物」等の機会が巡ってきたならば、消費した方が後々効果が高いので、ケチらず使いましょう。
食糧(肉)については、アクションして消耗したパーティーメンバーを回復する、重要リソースです。戦闘や特殊な踏破(罠回避や宝ゲット)の機会は多いので、常に枯渇しがちです。
しかし、遭遇戦闘の場合、「調理」によって食糧(肉)となって返ってくることも多いです。節約し過ぎて「倒せない」状況を作るより、余裕を持ってパーティーをアクションさせた方がリソースの回りがよいでしょう。
tips4. Boss戦! やった方がいい?
一番大きな勝利点になる可能性があるのは、「Boss撃破」です。
迷宮踏破(100%到達)はダンジョン「浅部」と「深部」の2回行います。Bossは各階層で100%を超えた時、出現します。
倒せば、浅部Bossは2d6(期待値7点)、深部Bossは3d6(期待値10.5点)の勝利点になります。いち早く100%にして得点加算を狙いましょう。
モンスターイーターの総評
漫画「ダンジョン飯」の雰囲気をしっかり出しながら、戦略性あるゲームに仕上がっている良作です。
元になった「モンスターメーカー」の発売年は1988年で、筆者は残念ながら未プレイですが、「名作だった!」と周囲のプレイヤー絶賛作品です。それを踏襲しつつ、「調理→加点」という新たな付加価値が加わり、ゲームの選択肢と面白みが飛躍しています。
キャラゲーと侮らず、是非プレイしてみて欲しい一作です。