ボードゲーム

解説┃ボドゲ・イスタンブール~歴史深い街並みの風情をそのままに、すごろく風ワカプレ!

ボドゲ・Istanbul ボードゲーム
ボドゲ・Istanbul

16枚の絵札の上を巡って助手(ワーカー)を配置し、商取引で稼いでいち早くルビーを集めましょう!

2014年ドイツ年間エキスパートゲーム大賞受賞
プレイヤー数:2~5人 プレイ時間:40~60分 対象年齢:10才~大人 発売:2014年~
メカニクス:複数対戦、モジュラーボード、グリッド移動、ワーカープレイスメント、ダイスロール、早抜け
セッティング:中東風商取引

総合面白さ :★★★★☆(良好!)
ゲーム難易度:★★☆☆☆(易しめ)
手軽さ   :★★★☆☆(普通。コンポーネント量は若干多め)
運の要素  :★★☆☆☆(少ない。行動競合の切り抜けが中心)
実プレイ時間:★★☆☆☆(短かめ。公式時間前後でほぼ終わる)

Konowe
Konowe

16枚のボードに描かれたイスタンブールの街並みが、本物のイスタンブールにそっくり! 所狭しと並んだ商店、街角の小モスクと荘厳雄大な大モスク、迷路のようなアーケード街で構成された大バザー! 広場の噴水だって、本物がちゃんとあります! このゲームをプレイしたなら、是非、トルコ・イスタンブールを訪れてください。ゲームさながらのエキゾチックな賑わいを本当に体験できます!

広場の噴水
大モスク
大市場(入口)

概要

ルビーを早く集めるゲームです。
各プレイヤーはイスタンブールの商人となり、助手(ワーカー)を引き連れフィールドのボード上を移動します。移動先で手元の荷車ボードに商品を積み、市場で取引してコイン(リラ)に変えたり、モスクに寄進して技を得たりしながら資源と手数を拡大します。得た資源を使い、各所でルビーと交換、または獲得し、規定数まで一番に集め終えた人が勝者となります。

イスタンブールのゲーム・メカニクス

<複数人対戦>

プレイヤーは各自「商人(親駒)」を操り、2~5人で同時対戦します。

<モジュラーボード>

アクションが描かれた16枚のボードは組み換え可能です。難易度別の並び番号が記載されているので、慣れてきたら難しい並びに変えてみましょう。ランダムになると商取引ほか、行動の巡りが悪くなってゲームが難しくなるのを実感できます。

<グリッド移動>

ワーカー(助手)を引き連れた自駒(商人)を縦横2マスまで移動させ、到着したボードに描かれたアクションを起こすという一連の行動を繰り返してゲームを進行します。

<ワーカープレイスメント>

自駒は移動先のボードにワーカーを「置く」か「回収する」ことでアクションを実行できます。もしもボード内に他プレイヤーの自駒がいる場合、そこでアクションするには各プレイヤーに「手数料」を支払わなければなりません。

<ダイスロール>

16枚のボード中2枚にダイスロールによるランダムな資源獲得手段が用意されています。

<早抜け>

5~6個(対戦人数で変動)のルビーを集めたプレイヤーが現れたら、そのラウンドを回し終えた段階でゲームは終了します。その間にルビーを集めた他プレイヤーが現れたら、手持ちのコインや商品の量が多い方の勝ちとなります。

初期セッティング

各プレイヤー
・手押し車ボード 1枚
・商品マーカー 4個
・自駒+助手駒4枚セット
・ボーナスカード 各自1枚
・コイン(リラ) 手番順で枚数変動
・手番ボード 各1枚
・トッププレイヤーマーカー 親に1枚

フィールド
・場所(アクション)ボード ×16枚
・ルビー(勝利条件) 人数に応じて各所に配置
・大モスク、小モスクの技タイル 4種類×プレイ人数別枚数
・5枚目の助手 各色1枚
・郵便局品物変動マーカー
・親戚駒 ×各プレイヤー色分
・総督、闇商人駒 各1個
・ボーナスカード 各プレイヤーに配った残りの山札
・小市場、大市場 需要カード 各5枚
・手押し車増設タイル プレイヤー数×3枚
・コインチップ 山札

イスタンブール・初期セッティング
イスタンブール・初期セッティング

ゲームの遊び方・手順

  1. 自駒(絵札のついた商人駒)の下に助手(ワーカー)を積み重ねて「隊商」とし、「広場」ボードに置きます。
  2. トッププレイヤーを決定したら、各自にリラ(コイン)を配ります。手番が遅い程、多く貰えます。
  3. ボーナスカードを各プレイヤーに1枚、配ります。
  4. トッププレイヤーから順に、以下手番を回します。

第1フェイズ:移動

「隊商」を縦か横に2マスまで移動させます。斜めは移動できません。また、移動を開始した場所ボードとは違う場所で移動を終えなくてはなりません。

助手(ワーカー)のプレイ:離脱・回収

助手1枚を離脱、または回収することで、その場所でのアクションを行う権利を得ます。プレイできるワーカーが隊商にない場合、この後のフェイズを行うことはできません。

第2フェイズ:他プレイヤーとの遭遇・競合の解消

移動先の場所ボードに他プレイヤーの商人(自駒)がいる場合、そこでアクションを行うならば各プレイヤーに2リラを支払わなくてはなりません。支払えない(支払わない)場合は、この後のフェイズを行うことはできません。(支払いが行われなかった場合でも助手を置くか回収します)

第3フェイズ:アクション

場所ボードに記載されたアクションを行います(詳細後述)。

第4フェイズ:総督、密輸商人、親族駒との遭遇

総督駒と密輸商人駒との遭遇は任意に行います。プレイした場合、各駒毎に2d6のダイスロールを行い、出目数の書かれた場所ボードに移動させます。親族駒は、他プレイヤーのものであれば必ず遭遇し、処理を行います。自分の親族とは遭遇できません。

総督:伏せたボーナスカードの山札から1枚引き、手札に加えることができます。そうした場合、手札の他のカードを1枚捨てるか、2リラの支払いが必要です。

密輸商人:プレイヤーは任意の商品1つか2リラ支払うことで任意の商品を1つ得ることができます。

親族:他プレイヤーの親族駒が居る場合、その場に居る全員を捕らえて警察署に送り返します(警察署に居る親族駒を捕らえることはできません)。褒美として、捕らえた親族駒1つにつき、ボーナスカード1枚を得るか、3リラを(山から)得るか選びます。

option. ボーナスカードの使用

ボーナスカードは全部で10種類あります。自分の手番内であれば、使うタイミングと使用枚数は任意です。手持ちできる枚数制限もありません。
資源を得るカードの他、各場所ボードでのアクションを2回行えたり、2倍移動できるといった、手番を圧縮できる能力が多いです。

16枚のボード(場所)でのアクション詳細

噴水広場

スタート地点です。自駒をここに置けば任意の数のワーカーを回収することができます。ここでのアクションは他プレイヤーの自駒があっても、手数料の支払いなく実行できます。

荷車製造所

7リラ支払うことで手元の荷車ボードに1枠を追加できます。これにより、商品をより多く積めるようになります。3つまで追加すると、ルビーを獲得できます。

商品倉庫

布(赤)、香辛料(緑)、果物(黄)の3種類あり、それぞれ荷車一杯まで商品を積むことができます。

モスク

大小それぞれ2つの技、合計4種類の技タイルを獲得できます。商品の「寄進」は、到達が遅いプレイヤー程、量を多く必要とします。それぞれ2つ獲得できた時点でルビーを得ることもできます。各タイルの内容は次の通りです。
・赤タイル:ダイスロールの出目1つを4にするか、再ロールできます。
・緑タイル:商品倉庫で2リラ払うことで任意の商品を一つ、追加で得ます。
・黄タイル:手番に1度、2リラ払うことで助手(ワーカー)を1つ自駒に戻せます。
・青タイル:入手したら即座に5枚目の助手(ワーカー)を得ます。

郵便局

商品と少額のお金を手に入れることができます。親類縁者から援助を受け取るイメージのようです。

市場

大市場、小市場それぞれに置かれた需要タイルの商品を荷車から任意数消費して、コインに変換します。大市場の方が変換効率は良いですが、宝飾品の需要が高い設定になっています。

警察署

親族駒があるなら「解放」して任意のボードに移動させ、自駒の代わりにそのボードのアクションを実行させることができます。

闇市場

布(赤)、香辛料(緑)、果物(黄)のいずれか1つと、ダイスロール次第で宝飾品(青)を複数個得られます。

商隊宿

ボーナスカードを山札から2枚手元に引き、既に持っている1枚含め、いずれか1枚を捨て札とします。なお、ここでボーナスカードを得る場合、1枚を捨て札の一番上から取ることも可能です。

茶屋

賭け事の演出です。出目の予測値を宣言してダイスロールを振り、宣言以上の目が出れば宣言しただけのコインを得ます。外れた場合、2リラだけ得ます。

スルタンの宮殿

商品を貢物として差し出すことで、ルビーを得ます。後に訪れる程、たくさんの貢物をしなければルビーを得ることはできなくなります。

宝石商

提示されている金額(リラ)でルビーを買うことができます。後に訪れる程、ルビーは高騰し、多額のリラが必要になります。

tips1. 早めに荷車を大きくしましょう

荷車ボードに積める商品は、最初は各品2つまでです。ゲームが進むと同じ商品を一度に4つ以上を消費したい場面も出てくるので、前半のうちに+3つの拡張を終えたいです。また、荷車拡張を終えるとルビー一つを獲得できます。このため、最後まで拡張しない戦略は考えにくいです。そうなると当然、全てのプレイヤーが荷車拡張を目指すので、そのタイミングをどうずらしていくかが、各自の作戦になります。例えばモスクの「技」タイルは、初期は品物2個で入手できますから、そちらを先に行うというのも手です。

tips2. モスク「技」は行動を拡張できる!

荷車と違って、モスクタイルはなくても困る状況にはなりません。しかし、あった方が手数が増えたり、ダイスロールの成功率が上がるといった、効率化を図ることができます。特に緑モスクタイルは手元にない場合、宝飾品(青)を手に入れる手段が限られてしまいます。もちろん、なくてもトップ上がりは可能ですが、あった方が手順は楽になるでしょう。

tips3. 大活躍「おじさん」

手数圧縮手段として序盤から活躍するのが、親族駒です。警察に捕まっているあたり、漫画やドラマに出てくる「困った叔父(伯父)」を彷彿させる駒です。とりあえず1回は仕事しますが、その後、通報されるまで戻ってこないのもお約束です。
この駒の利点は、移動距離に縛られないこと、場所ボードに他プレイヤー駒が居ても「手数料不要」でアクション出来ることの2点です。序盤であれば、荷車の拡張や商品の獲得、後半は宝石商やスルタンの宮殿でのルビー獲得といった場面で活躍します。後から他プレイヤーがそのボードにやってくれば、おじさんは必ず通報されて警察署に戻りますから、人の往来が激しい場所ボードで仕事して貰うのがいいでしょう。

tips4. ボーナスカード使用で手番を加速!

資源の揃う後半に大きくリードできる手段が、ボーナスカードです。特にスルタンの宮殿と宝石商を2回アクション出来るカードは強力です。1手番丸ごと圧縮してルビーを積めるので、他プレイヤーの追従を難しくします。資源はその分必要になりますので、狙いすぎると貯めている間にルビーが高騰したりもするので、こだわり過ぎずに使いましょう。

イスタンブールの総評

ワカプレというよりすごろくをイメージするくらい、1つずつのアクションが軽くわかりやすいのが特徴です。考え込む程にはならず、それでいて戦略性も高いので、ゲーム初心者さんやお子さん、手慣れたプレイヤー皆が楽しめます。
また、前半にも書きましたが、限られたエリアをぐるぐる回れる雰囲気が、本物の街によく似ているところも好印象です。バザーの品物の多さには圧倒されますし、街角のモスクは庶民の憩いの場、大モスクも定期的に行くという、生活習慣もよく表れています。
ビザンツ帝国時代の礎の上に中東文化が積み重なってできた独特の街、イスタンブール。是非、訪れてみてください。数千年の歴史に魅了されること間違いなしです!

Konowe
Konowe

トルコはお料理とパンも美味しい! お菓子もできたてのロクム(ターキッシュ・ディライト)を是非食べてみてほしいです! 「ナルニア国物語―ライオンと魔女―」のエドマンドがお菓子(ロクム)につられた気持ちが分かってしまうくらい、とろけるおいしさなのです!

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