SLGボードゲーム

感想戦┃14人戦:メガ・シヴィライゼーション『大いなる文明の曙』

Mega Civilization SLG
Mega Civilization

紀元8000年の石器時代から紀元0年後期鉄器時代を目指す『文明の曙』をベースに、「文明」や「交易品」カードを大幅追加。最大18人でプレイ可能な巨大マルチゲーム!

原題:Mega Civilization
プレイヤー数:3~18人 プレイ時間:6~18時間 対象年齢:12才~大人 発売:2016年~
参考価格:38,880円(絶版)
セッティング:紀元8000年~鉄器時代の西欧諸国エリアと中東、インド
メカニクス:SLG・マルチゲーム、エリアマジョリティ、技術ツリー、トレード、セットコレクション、直接攻撃

総合面白さ :★★★★☆(良好!)
ゲーム難易度:★★★★(メカニクスはシンプルだが運用は難しい)
手軽さ   :★☆☆☆☆(インストに1時間は必要。プレイ時間も長い)
運の要素  :★★☆☆(交易カードに災害が混じる)
実プレイ時間:★★★★★(SLGの中でもかなりの長時間ゲーム)

Konowe
Konowe

最初に、SLG(シミュレーションゲーム)とボードゲーム(特に近年のもの)の違いを簡単に述べておきましょう。
端的に言えば、「ルールで描かれるもの」が違います。

ボードゲームのルールは、ゲームそのものの為にあります。
つまりプレイヤーがゲームをプレイするための、「メカニクス(仕組み)」として機能します。

SLGのルールは、「事象と状況の再現」の為にあります。
戦争が起きる理由とその状況、地形等の物理条件、偶然(ランダム)性、損耗や経年劣化などの時間経過といった要素を表す「システム(仕組み)」は、プレイアビリティーのために用意されてはいません。あくまで、「起こり得ることを盤上で簡略化して再現」するために存在します。

このため、Civilizationで言えば、「戦争」は「可能」であり常に起こり得るけれど、「そのルールをむやみに振りかざしてはならない」という「暗黙の了解」が発生します。

ここが、ボードゲームとの大きな違いです。
ルールにあるからといって、「やっていい」訳ではありません。
厳密に書くなら、「やっていい」ですが、「勝てない」どころか「ゲームにならない」状態になることもあります。

メガ・シヴィライゼーションとは

2023年7月の連休を利用して、関東某所にて『Mega Civilization~メガ・シヴィライゼーション~』の14人対戦が行われました。最大4枚のボード(総延長200cmほど)を並べて、地中海を中心としたヨーロッパ諸国とインドまでの中東地域を舞台に、18人でプレイできる巨大マルチゲームですが、今回は西欧諸国とイランあたりまでのボード3枚(150cmほど)でプレイしました。

ゲームの目的は、紀元前8000~0年までの人類史を民族毎にシミュレーションしながら、誰が「文明の曙」、すなわち紀元0年期に早くたどり着き、そして「文明(勝利点)」を一番多く獲得できるかを競うことです。
前述の通り、「ルール」はあくまで「シミュレーション」のために用意されているので、例えば隣の文明との境の取り決めはルールではなくプレイヤー同士の「決めごと」で解決するのが一般的です。そして「交易」による物々交換が互いの文明力(勝利点)を高め合うという性質上、プレイヤーがいかにソフトパワー(国家対話力)を演じられるかがゲームの勝利への鍵となります。

今回プレイされた文明は次の通りです。

西方
1.MINOA ―ミノア
5.CELTS ―ケルト
6.CARTHAGE ―カルタゴ
9.HATTI ―ヒッタイト
11.ROMA ―ローマ
13. IBERIA ―イベリア
15. HELLAS ―ヘラス(2日目投了)

東方
2.SABA ―シバ
3.ASSYRIA ―アッシリア
6.BABYLON ―バビロン
12.PERSIA ―ペルシャ
14.NUBIA ―ヌビア
16.INDUS ―インダス(2日目~参戦)
17.EGYPT ―エジプト(2日目~西方)
18.PARTHIA ―パルティア

各プレイヤーが担当する文明は、ランダムで決定しました。但し、地形的に難しいミノア[MINOA](初版シヴィならクレタ)は、初プレイの人が引いたら慣れた人と交替しようというお約束……だったのですが、きちんと伝わっておらず、初プレイの人がそのままプレイ開始しました。この時点で、ちょっと火種の予感でした。

なお、今回はミノア[MINOA]同様、初プレイヤーも多いので各文明はメガシヴィ・ルール内の「標準領域」を使い、基本的にはその範囲内でやりましょうという取り決めをしていました。しかし、あくまで「取り決め」ですし「勘違い」するのも人間です。

ちなみに、私の担当はシバ[SABA]でした。今でいう、サウジアラビア、イエメン、エチオピアあたりが分布地です。砂漠(許容0)が4か所あり、肥えた土地(許容3)は1カ所のみというイジメのような地域です。早くに文明:農業[agriculture]を手に入れたいところですが……?

1~5ターン
AST進行:紀元8000~3300年 [STONE AGE ―石器時代―]

ユニットを1つから32ユニットまで増やし、「都市を2つ」建てて次の文明ランクに入るのが、全民族の目標になります。
手慣れたプレイヤーなら4ターン目まで「先配置」で始めるようですが、そもそも「人口増加」をやったこともない人も混じっているので、丁寧にターンを進めました。

4ターン目でホスト役プレイヤーから、「ミノア[MINOA]さん、船を作りましょう」とアドバイスが入り、建造と動かし方をおさらいしました。諸所、こうしたポイントを指示して貰えるうえ、元来のゲームツールの改良バージョンを用意してくれているので、進み方はとてもスムーズでした。
ちなみに、ミノア[MINOA]は領域の殆どが島なので、ユニットの移動・拡散には船が必須です。この運用が上手になると、天然の要塞に守られた地になるらしいですが……?

シバ[SABA]もアフリカ大陸(エチオピア)側の飛び地領域へ渡るために、4ターン目で船を建造しました。が、ちょっと早かったなあという印象でした。「境界取り決め」もあるのですから、焦って渡らずとも良かったかもしれません。何しろ、船を使うには「ユニット(人員)」を消費せねばならず、「ユニットからユニットが増殖」する仕組みを考えると、その分人の増え方が遅れることになります。人が少なければ、各土地を占有する人員も不足し、都市建設した後の「都市維持」もぎりぎりになります(船は都市ができれば税金を使って作れますが、都市ができる前なので厳しいのです)。

5ターン目で全員が都市を作りました。シバ[SABA]のみ1都市で、他は皆、2都市以上建てていました。やはり、船は早すぎました。人が分断されるので、都市建設要員を集められなかったのです。とはいえ、ミノア[MINOA]はちゃんと2都市建てているので、単に私の動かし方が悪かった結果でした。シバ[SABA]はミノア[MINOA]同様、7ターン目開始時「2都市」あれば次の文明に入れるので、「足踏み」にはなりませんでした。しかし「交易品」は2枚少ない状況になり、次で明確な差が出てしまいました。

6~8ターン
AST進行:紀元前2700~2000年 [EARLY BRONZE AGE ―前期青銅器時代―]

「都市を3つ以上維持し、文明カードを3枚獲得」するのが次の時代に入るための条件です。文明によって達成にかけられる期間に差があり、土地が厳しいミノア[MINOA]、シバ[SABA]などは1ターン余裕があったりもします。

さて、都市が建つと都市数に応じた「交易品」カードを獲得できます。都市数が多ければ「交易品」は獲得枚数が増えると同時に「品物ランク」も上がります。ランクの高い品の方が、複数枚集めた場合に得られるクレジット(文明獲得に使える「お金」に相当)も高くなります。
これを「交渉フェイズ」で他プレイヤーと物々交換する「取引」をし、手元に同じ「交易品」を複数枚集めるのが、このゲームの最重要動作になります。後述しますが、「交渉」のためには「国境」で揉めることなく互いに円滑な状況を保ち、また、周辺民族にも「同等」に育って貰わなくては困るのです。例えば5ランクの交易品は5都市ないと手に入らず、自分だけ5都市で飛び出ていても、交易品は回ってこないので宝の持ち腐れ、となります。同じランクの文明が複数育ってくれる方が、結果自分も育ちます。

そんな中、シバ[SABA]は前述したとおり、「交易品」が不足していました。6ターン目、手持ち枚数が少なすぎて「交渉」ができませんでした。「交易品」は最低3枚で交換しなくてはいけないというルールがあるため、この時手札4枚しかなかったシバ[SABA]は、結果、クレジット(文明獲得ポイント)取得が遅れてしまいました。

それでもなんとか、最初の文明:天文航法[Astronavigation]を獲得し、航海可能域を広げて8ターン目に小島に12ユニット都市を建設しました。土地の大部分が許容1~2で、許容2の土地に都市を建てたくなかったのです。ところが……。

8ターン目でなんとか7都市まで伸ばしたところで、シバ[SABA]は災害:内乱[Civil War]を引いてしまいました。よりによって、初災害が「交易不可[Non Tradeable]」の災害。ついていません。更に、気が付いたら海賊[Piracy]の二次被害まで押し付けられていました。いや、他にも沿岸都市あるでしょ。しかもお手洗いで離席している間につけるのはちょっと酷いやり方です。人間不信はこうして生まれていくという、リアルなシミュレーションが早くも発生しました。
対岸では災害:蛮族襲来[Barbarian Hordes]が発生するなど、そろそろ「大いなる文明の曙[MegaCivilization]」の本領が発揮され始めました。

9~11ターン
AST進行:紀元前1800~1500年 [MIDDLE BRONZE AGE ―中期青銅器時代―]

次の目標は「3都市以上を維持しながらクレジット100以上の文明カード3枚を獲得」することです。
この辺りから、「足踏み」が始まります。前述のように災害発生で3都市維持ができなくなったり、運用ミスによるクレジット不足で文明を買えなかったりなど、各文明の差が明確になるのが丁度この時期になります。ここからが本番と言えるでしょう。
ちなみに朝10時から始めてここまでで夕方5時くらい。先はまだ長いです。

10ターン目。シバ[SABA]はまた災害を引きました。蛮族襲来[Barbarian Hordes]です。ここで少し、悩みました。この災害は交易不可[Non Tradeable]ではないので、「交易品」に混ぜてしれっと他人に渡すことも可能です。

そう。このゲームは「交易」しないとクレジット獲得できず文明(勝利点)を買い揃えられませんが、その交易品に「災害」を混ぜて他人に押し付けることができるというシステムなのです。人の交流がパンデミックを産む実例は、私たち現代人にとっても記憶に新しいですが、「人災」にあたる災害も交流故に発生することは歴史上、しばしばです。「人類の血生臭く愚かしい攻防史」の縮図が、この「交易品に災害も混ざる。しかも人の手によって」というルールで端的に表されています。

そんな訳ですから、「交易品」に災害が付けられて回されますが、貰っても腹を立ててはいけません。自分が損をするだけです。回されたら溜息つきつつ、飲み込むのが賢明な対応です。何故なら、最低限、2枚は本当に渡す品物を相手に告げなければならず、つまり「欲しい品2枚」は手元に必ず貰っているはずだからです。

その上で、さて、自分は他人に災害を回すのか?
私は今回、「災害を回さず、上限(発生するのは最大2枚)まで食らった場合、どこまで文明を伸ばせるものなのか?」を試してみたかったので、自主的には回しませんでした。そして、他人の交渉傾向を密かに分類しながらプレイしていました。「押し付けて舌を出す人」が勝つのか、それとも「災害すら交渉材料に使う」人が勝つのか?

なお、私、シバ[SABA]は「東方帝国」エリアでプレイしていました。「西方帝国」エリアとは得られる「交易品」が一部異なるため、基本的には「東方」の民族プレイヤーと交渉することが多くなります。慣れている方たちはそこも加味して、制限時間内で東西を行き来し、複数の交渉をまとめて交易品を多数獲得します。

こうして交易の際は席から立って往来しながら入り乱れてやり取りしますが、それ以外は巨大な机を挟んで向こう側なので、「何か」が起きていても殆ど「対岸の火事」で気づきません。

その異変は、密かに「AST表」に現れていたのでした。

12~14ターン
AST進行:紀元前1400~1200年 [LATE BRONZE AGE ―後期青銅器時代―]

大いなる文明の曙を目指す戦いも、そろそろ終盤戦に突入です。次の目標は「4都市維持、200以上の文明カード2枚獲得」です。シバ[SABA]は「100の文明カード」すら1枚もなく、文明レースからは既に脱落が決定していました。それでも最後は「獲得勝利点」勝負ですから、万が一の巻き返し逆転も!? まあ、基本、有り得ませんが、前を走る文明がうっかり交易不可[Non Tradeable]]災害:退行[Regression]を引いてASTが押し戻され、足並みが揃うかもしれません。最後まであきらめてはいけません。
……通常の状況であれば。

12ターン目に入る以前から、「おかしいな?」とは思っていました。ヘラス[HELLAS]プレイヤーさんが、交渉フェイズになっても立ち上がって皆の輪に入りません。試しにシバ[SABA]から声掛けしてみると、「交易品、これしかないから」と、3~4枚の手札を見せて俯きました。
シバ[SABA]も内乱、蛮族、海賊、疫病と災害を立て続けに食らい、ユニットと都市数減少なら誰にも負けないくらいの凹み具合でしたが、ヘラス[HELLAS]の落ちぶりと交易品のなさっぷりは尋常ではありませんでした。ASTも、「文明カード3枚」または3都市維持がいつもクリアできない様子で、9ラインで止まったままでした。

ここで1日目が終了し、続きは翌日となりました。
ヘラス[HELLAS]の事情は後から簡単に聞いたところ、ミノア[MINOA]かヘラス[HELLAS]どちらが先か分からないが境界ラインを間違え、互いに怒り出して密かに喧嘩になり、ケルト[CELTS]やヒッタイト[HATTI]もあわせて険悪になり、ローマ[ROMA]やイベリア[IBERIA]にもストレスが貯まり……と負の連鎖が起きていたようでした。結果、ヘラス[HELLAS]は交易から弾かれてしまっていた様子。
その陰では、カルタゴ[CARTHAGE]が着々と勢力を拡大していました。よく見ると、ローマ[ROMA]の先の島(シチリア)を占拠していました。「標準領域」だとローマ[ROMA]と同居になっている筈なのに、ちゃっかり独占したようでした。悪い奴です。私の友人ですが。

東方ではシバ[SABA]の右隣り、ペルシャ[PERSIA]が毎回、狙って災害を西側諸国に送り込んでいたようで、「ペルシャ[PERSIA]憎し!」のコールが西側から上がり始めました。悪い奴です。こちらも私の友人ですが。
「いやいや、勝利点トップはカルタゴ[CARTHAGE]だから! カルタゴ[CARTHAGE]憎し!」と、ペルシャ[PERSIA]は一生懸命言い返していましたが、西側諸国は誰も聞いていません。陰で密かに笑うカルタゴ[CARTHAGE]。
なるほど。こうして東西冷戦(違)は起きるのだという好シミュレートでした。

二日目。
1名は事情で2日参加はできないとのことで、1名入れ替わりで参戦となりました。更にもう1名がやってくるとのことで、急遽インダス[INDUS]文明を追加参戦。東方、人溢れにつきエジプト[EGYPT]が押し出されて西方帝国へ組み込まれます。この影響からか、エジプト[EGYPT]は東西両方の洪水[Flood]を立て続けに3回、次いでに暴風雨[Cyclone]も食らい、人や都市が何度もナイルに飲み込まれて皆の同情を買いました。

問題のヘラス[HELLAS]は、ホストプレイヤーと相談の結果「投了」することになりました。大変残念ですが、とにかく長い時間を要するゲームです。気持ちが折れていたら続きません。それでもラストまで見学していたので、本当は続けたかったのだと思います。次は良いゲームができることを祈ります。
検討の結果、ヘラス[HELLAS]の土地は「OUT of PLAY」に変更しました。

そして初プレイなのにうっかりミノア[MINOA]の担当となったプレイヤーさんは、昨日からのフラストレーションが解消しきれないらしく、様々疑心暗鬼の様子。今度はうっかり国境に食い込んでいたケルト[CELTS]と声を荒げて揉め始めてしまいました。
これはいかん状況です。何か目標を変えないといけません。

ところで、12ターン目にして未だに海賊と蛮族を追い出せないシバ[SABA]ですが、何やらアッシリア[ASSYRIA]の内乱[Civil War]により、西側向きの沿岸を得ました。とはいえ、基本的には「速やかに撤退」する大人プレイが推奨なので、早くに紛争解決しやすいようにユニットを動かして……。

アッシリア[ASSYRIA]「うわ! そっちに積まないで! いや、動かないでくれればこっちで片づける」
シバ[SABA]「あれれ? そうですか、ごめんね。あ、ちなみに、都市は最後に片づけてくれるとうれしいのだけれど(もともと4都市まで減っていたところ、勝手に1都市沸いたので少し楽になった)」
アッシリア[ASSYRIA]「わかったわかった」
アッシリア[ASSYRIA]は友人プレイヤーなのをいいことに、甘えたことを抜かすシバ[SABA]。迷惑な奴です。初プレイで苦労しているのに、ごめんなさいでした。

シバ[SABA]「あ、パルティア[PARTHIA]さーん、都市って自分で畳めないんですかね?」
パルティア[PARTHIA]「(←ベテランプレイヤー)無理です。建ってしまったら、災害使うしかないです(シバ[SABA]の内乱で得たパルティア[PARTHIA]の都市と土地は災害1つで鮮やかに撤退させていた)」
シバ[SABA]「ああー。ですかー」
ところがこういう時に限って災害は回ってきません。撤退のためにわざわざ他者の災害を引き受けるのも妙な話です。どうしたものかと思っていたところで、前述のミノア[MINOA]とケルト[CELTS]のリアル紛争が始まりました。

シバ[SABA]「あ。いいこと思いついたわ~」
ここでシバ[SABA]は、アッシリア[ASSYRIA]沿岸に唐突に船を建造。残った4ユニットを乗せて、文明:天文航法[Astronavigation]パワーで地中海(公海)を突っ切り、カルタゴ[CARTHAGE]の港に爆弾上陸しました。
「そろそろ、トップを攻撃してもいいでしょ?(にやり)」
全文明「!!」

15ターン
そして「文明の曙」を目指す

文明の進歩競争もとうとうラストスパートです。AST表では紀元前800年[EARY IRON AGE ―前期鉄器時代―]を目指します。条件は「200点以上の文明カード2枚を獲得し4都市を維持」です。ここに駆け込んだら、最後の1コマ「5都市維持、200点以上の文明カード3枚を獲得」し、紀元0年を迎えて[LATE IRON AGE ―後期鉄器時代―]となり、「大いなる文明の曙」に到達し、ゲームは終了します。

矛先に気付いた各文明は、一斉にカルタゴ[CARTHAGE]攻撃を開始しました。交易と二次被害で災害を押し込まれ、ボコスカにされたカルタゴ[CARTHAGE]曰く「都市攻撃で高い交易品持って行かれたのが痛かった! あれさえなければ逃げ切れたのに!」とのことでした。実際、文明もしっかりため込んでいて点数はかなり伸びていました。

次に標的となったのがペルシャ[PERSIA]とヒッタイト[HATTI]でした。ペルシャ[PERSIA]は、実はシバ[SABA]の砂漠(許容0)3か所を「シバ[SABA]が農業[agriculture]を得るまで」借地していたこともあり、そこはかとなく余裕のあるプレイをしていました。たった3ユニット、されど3ユニット。
13ターンになってようやくシバ[SABA]は農業[agriculture]をゲットします。「シ、シバ[SABA]……。次は早い農業を!」と、ホストプレイヤーに嘆かれるくらいの遅い農業。ええ、普通、有り得ません。天文航法[Astronavigation]を見送って農業[agriculture]を買えよ、と、言う話。後半も点数が伸びなかった理由は、この運用ミスに尽きると思います。引いた災害を自分で受けていた影響より、恐らくこちらの方が大きいです。
そんな訳で、ペルシャ[PERSIA]は紳士的に借地(砂漠)をシバ[SABA]に返したタイミングで色々殴られ、うっかり自分で内乱[Civil War]も引き当て、あっという間に凹みました。

対して、ヒッタイト[HATTI]は文明:優越文化[Cultural Ascendancy]で他文明からの攻撃をガードしていました。バビロン[BABYLON]、イベリア[IBERIA]も14ターンに滑り込みましたが同じように叩き合いで都市が減少。それをしり目に、ヒッタイト[HATTI]は次で上がり確定と言われる状況になりました。周囲はとりあえず交易で災害を送り込んでみたり、二次被害を押し付けてみたり。結果……なんと都市維持が、5に届かない!?
「おお! これはもう1ターン伸びたか!?」

と、ぬか喜びする文明たちですが、
「なーんてやってるうちに、うちがあがっちゃいましたーww」
振り向いた先に居たのは、エジプト[EGYPT]!
洪水であわあわしていた筈なのに、実は密かに最終ターンに入っていたのでした。誰もがノーマーク。私はAST表を見て「あれれー?」と、気付いていたのに、プレイしているうちに忘れていましたw

点数集計

最後にゴールしたからといって「勝者」になれるとも限らないのがこのゲームの難しさです。とはいえ、最終ターンに「単独突入」した場合、特別ボーナス5点が加点されます。お陰でエジプト[EGYPT]は点数もトップを維持でき、見事「勝者」となりました。

ほか、順位は次の通りです。

エジプト[EGYPT]同様、他者からノーマークで順当に勝利点を伸ばしていたのが、2位ローマ[ROMA]と3位パルティア[PARTHIA]でした。この2文明は、ASTレースには一切参加せず、勝利点だけをこっそりと伸ばしていました。もしもエジプト[EGYPT]がゴールできず、もう1ターン伸びていたら点数面で逆転していたかもしれません。こういった点でも、各文明はできるだけ「均等に」伸びてくれた方がいいことが分かります。全員が同列であれば、たたき合いも発生し難く、文明の点数だけ密かに伸ばしやすくなります。
また、パルティア[PARTHIA]やイベリア[IBERIA]は災害も交渉材料として積極的に使っていました。主には交易不可の重たい災害を受けないために複数枚の災害をわざと引受け、ランダム引きにして軽い災害2枚で済ますという手のためですが、この2文明のプレイヤーは取引しても、変な災害は回してこないという安心感も生まれます。押し付けばかり繰り返していると「お前と一緒にゲームやりたくない」というプレイ拒否が発生しやすくなるので、ほどほどな交渉術を学ぶ方が、以降も楽しく遊べるコツといえます。

コラム:
「戦争」は「できる」けれど「やるのはロス多い」理由

さて。メガ・シヴィライゼーション[Mega Civilization]は「民族同士のせめぎ合い」シミュレーションですから、「国境紛争」つまり「たたき合い」を再現するシステムも用意されています。そして「対戦ゲーム」という言葉から、どうしても「たたき合い」、つまり「戦争」をやってみたくなります。

事実、私も初めてシヴィライゼーション[Civilization](アバロンヒル版)をプレイしたときは、よくわからないまま「戦争」をやってみました。お陰でベテランプレイヤーから目の敵にされ、災害を送り込まれて凹まされました。あるあるです。私もボードゲーム上がりのゲーマーですから、最初は存在するルールは何でもいつでも使っていいと思っていたのです。

前述したとおり、メガ・シヴィライゼーション[Mega Civilization]の「戦争」ルールはどう運用するか考えて使わないと、自分が損をするだけになります。
まず、「戦争」すると、せっかく盤上に配置したユニットは減ります。ユニットは「都市建設」や「都市維持」にも使われるので、そのリソースを失うのは痛いです。何しろ、戦争しなくても災害でユニットや都市は減ることは多いです。その回復リソースを自分の運用でいくらでも回避可能な「戦争」で消耗するのは、手としてはもったいないやり方といえます。
それを他のプレイヤーにも強要することになるので、相手にとっては単なるストレス要因でしかなく、知らず知らず、戦争を仕掛けるプレイヤーをゲームから除外しようという心理が働いていきます。
結果、今回のヘラス[HELLAS]のように、弾き出されてしまうこともあるわけです。

基本的には他人の土地を欲張って奪っている暇があったら、小さなエリアでも都市をしっかり建て、6~8都市を維持して交易し、5~8ランクの交易品を4枚以上1~2組集め続ければ、スムーズに6レベル文明まで買えるようになります。このゲームはいかに「交易」を有利に成立させるかが勝負なので、「戦争」は終盤のASTレースや、災害:内乱などで国境が乱れたところの調整以外には利用しないのがセオリーとなります。

メガ・シヴィライゼーションの総評

14人もいると終えるには2日がかり。まさに「メガ」なゲームですが、最小3人からでもプレイ可能なルールが用意されています。この人数なら、ゆっくりプレイして1日かからず終わるでしょう。とはいえ、10人を超える人数でプレイするからこその面白みというものがあります。多人数であるほど、人によって考え方や動き方、交易の仕方、盤上の運用も違い、まさかと思うようなドラマも生まれます。それはプレイしている人でなければ、味わえない貴重な体験といえます。
ゲームは既に絶版で入手は難しいですが、もしもプレイ機会に恵まれたなら一度は遊んでみて欲しい良作です。

Konowe
Konowe

私はこれまで、初版Civilization(アバロンヒル版)2回、Mega Civilization2回とプレイしてきました。まだまだ少ない経験ですが、思うことは、このシリーズは序盤と終盤でゲーム性が変わるということです。基本的には「対戦」なのですが、途中経過はほぼ「協力ゲーム」に近い動きをした方が、総じてスムーズにゲームが進みます。
ここでもしも、全文明がエンカウントする度に「紛争(戦争)」を選んでいたとしたら、まず、いくつかの文明が「衰退」しすぎて、投了を余儀なくされるでしょう。そうなると「交易品」の流通が減るので、いつまで経っても新しい文明を買えなくなっていきます。そうこうしている間に災害を何度も食らい、やがて「全滅」でゲームが終わる可能性もあるかなと思います。
なにしろ「人類のシミュレーション」ゲームですからね!

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